2026年6月01日
みなさん暑くなってきましたね。私も最近半袖短パンの毎日を過ごしております。
毎年、夏が近づくとテレビやネットで「こまめな水分補給」や「エアコンの適切な使用」といった熱中症対策が呼びかけられます。これらはもちろん基本として大変重要なことですが、実は私たち歯科医療の視点からも、熱中症のリスクをいち早く察知し、予防するためにお伝えしたい大切なポイントがあります。それが「お口の中の環境」です。
熱中症は、体内の水分や塩分のバランスが崩れ、体温調節がうまく機能しなくなることで引き起こされます。人間の体は水分が不足し始めると、命に関わる重要な臓器へ優先的に血液や水分を回そうとするため、生命維持において優先順位の低い「唾液」の分泌を真っ先に減らしてしまいます。つまり、「なんとなく口が渇く」「喋りにくい」「ネバネバする」と感じたときには、すでに体全体の水分が不足し始めているという、体からの最初のサインなのです。
特にお気をつけいただきたいのが、ご高齢の方々です。年齢を重ねると、お体に水分を蓄える筋肉量が減少することに加え、脳の渇きを感じるセンサーが鈍くなるため、自覚がないまま脱水が進む「隠れ脱水」が起こりやすくなります。また、お口の機能の衰えによって一度にたくさんの水分を飲み込むのが難しくなったり、トイレの回数を気にして水分を控えてしまったりすることも、熱中症のリスクを大きく高める要因です。
このお口の渇きを防ぎ、熱中症を予防するためには、単にのどが渇いてから飲むのではなく、時間を決めてコップ1杯の水分を口にする習慣が効果的です。その際、緑茶やコーヒーといったカフェインを含む飲み物は利尿作用があるため、水分補給には水や麦茶を選びましょう。また、よく噛んで食事をすることは、天然の水分補給とも言える「唾液」の分泌を促し、お口やのどの粘膜を潤すことにつながります。
「しっかり噛んで、お口の中を常に潤しておくこと」は、単に食事を美味しく食べるためだけでなく、夏の強い日差しや暑さから命を守るための立派な防衛策になります。少しでもお口の渇きや話しづらさを感じたら、それは体がSOSを出している証拠です。無理をせず涼しい場所で休み、適切な水分と塩分を補給して、これからの厳しい季節を健やかに乗り切っていきましょう。お口の健康や飲み込みについて気になることがあれば、いつでもお気軽にご相談ください。
